二重査定とは、売買契約をした後に再度査定を行うことです。再査定とも呼ばれます。
想定よりも高い査定額が提示されて喜んでいた矢先、売買契約を交わした後に二重査定(再査定)で減額されるという事例が少なからず発生しています。
SNSを調査すると、以下のような投稿がありました。
知り合いの車の査定に立ちあって交渉。なぜか買取契約後に20万減額の電話があった。中古車だから後から修復歴が見つかったらしい。いや、査定の段階で見つけてよと知り合い激怒。売るのを拒否したら元々の査定額でokとのこと。
— マロン (@bochibochiikode) July 18, 2022
どゆこと??
SNSだけでなく、国民生活センターにも「増加する中古自動車の売却トラブル」として事例が紹介されています。
(3)契約後の査定額の減額
引用元:国民生活センター「増加する中古自動車の売却トラブル」
【事例6】修復歴を告げ、2回も査定して決まった売却額が、突然減額された車を売却しようと店舗へ出向き査定を受けた。その後、再び同じ店舗で、駐車中にフロント左側をぶつけられ修理した等の修復歴を全て告げたうえで再度査定してもらい、提示額に納得して契約した。ところが一昨日事業者から、「車をオークションに出したら、事故車扱いとなった。契約金額から約 30 万円減額してもらえないか」と連絡があった。2回も査定したうえで契約したのに納得いかない。契約通りの金額を支払って欲しい。
トラブルに巻き込まれないように事前に対策しておくことは重要です。
万が一、再査定や二重査定のトラブルに巻き込まれたとしても、この記事を読めばどのように対処すればいいかがわかり、焦らず対応できるはずです。
売買契約後で実際にトラブルに遭っている方はもちろん、売買契約前の方も必ず確認してください。
車買取の売買契約後に減額される二重査定とは
納得のいく査定額だったので安心して売買契約を交わした後に「やっぱりその査定額では買取できません。再査定をした結果、減額した額を振り込みます」と言われる場合があります。
「そんなバカな!」と思うかもしれませんが、これがいわゆる売買契約後の二重査定による減額です。
悪徳業者だけの話だと思うかもしれませんが、実は大手買取専門店でも過去にそのようなトラブルが発生しています。
しかも、契約をキャンセルしようとすると高額なキャンセル料を請求されることもあります。
減額トラブルの原因となる契約不適合責任
二重査定や再査定の減額トラブルが起こる理由の一つに契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)があります。
契約不適合責任と瑕疵担保責任の関係性
瑕疵担保責任は買主を保護するために制定されました。買主が不具合や故障のリスクがあることを知らずに購入した際の損害を防ぐためです。(参照:国土交通省「瑕疵担保責任について」)
2020年4月から瑕疵担保責任ではなく「契約不適合責任」として施行されました。
つまり、売主が故意に事故歴を隠すことによる損害について、買主が売主に対して損害賠償金や契約解約料の請求を行うことが可能です。
契約不適合責任とは売買の契約内容に異なる内容が発覚した場合に、売主(あなた)が買主(買取業者)に対して責任を負う制度です。要するに買取業者を守るためのものです。
例えば、故意に車の修復歴や傷、凹みなどを買主に隠したとします。その場合は契約適合責任により、買主の損害を売主が負うことになります。
しかしながら、売主に落ち度がなく故意ではないケースも考えられます。
- 傷を凹みを把握していない
- 中古車で修復歴やメーター改ざんが判明する
自分の車でも知らない間に傷がついていた、家族や友人に貸した際に傷をつけられたなど、そもそも傷や凹みを把握していない可能性が考えられます。
中古車だと前所有者、さらに前の所有者が事故をしていて把握できないケースもあります。
特に年式が古い中古車に多く、売却する際に初めて自分の車が事故車だったと判明する場面に遭遇したことがあります。
このようなケースでは、売主が故意に事故歴や傷を隠したわけではなく、買主を騙したわけでもありません。よって売主に落ち度はなく、損害賠償を請求されることはありません。
ただし、落ち度がなくても追完請求や代金減額請求、契約の解除には応じる必要があります。
契約不適合責任で請求される権利や内容をわかりやすく以下の表にまとめたので確認してください。特に売主の落ち度に注目してください。
契約不適合責任で請求される権利 | ||
---|---|---|
4つの権利 | 内容 | 売主の落ち度 |
追完請求 | 買主が知らない車の傷などの補修を 売主に請求できる権利 | あり・なし どちらでも請求可 |
代金減額請求 | 車の補修に応じない売主に 代金の減額を請求できる権利 | あり・なし どちらでも請求可 |
契約解除権 | 買主から売主に契約解除の請求ができる権利 催告解除と無催告解除の2種類がある | あり・なし どちらでも請求可 |
損害賠償請求 | 契約不適合があった場合 買主が損害賠償請求をする権利 | あり |
上記を踏まえて、二重査定や再査定の減額トラブルを回避するために注意すべきことは、売主に落ち度がなく故意でもないケースです。
例えば、車を売る際に自分が把握している傷や修復歴を査定員に伝えたとします。
査定額に納得して売買契約した後に、買取業者が再査定を行い新たな傷や凹み、修復歴などを発見。これにより二重査定による減額(代金減額請求)、もしくは契約解除(契約解除権)を請求されます。
この例では売主に落ち度がなく、もちろん故意に騙しているわけでもありません。にも拘らず、追完請求や代金減額請求、契約解除権は売主の落ち度に関係なく買主が請求してきます。
「そんな理不尽な…」と感じたかもしれませんが、これが買主を守るための契約不適合責任であり、買主に与えられた権利なのです。
本来は査定のプロでもない売主が、買主に対して車の状態を全て伝えるのは無理があります。査定員に対して自己申告を行い、誠実に答えるのは最低限必要ですが、それだけで二重査定や再査定を防ぐのは難しいです。
そのため、売主側でも契約不適合責任に対して対策が必要です。後に紹介する売買契約書の内容を確認するのが鉄則になります。
ちなみに、悪徳業者は様々なことを理由に二重査定を行い減額してきます。例えば、その場で把握していたにも関わらず、後から傷や欠点を見つけて減額してくるケース、契約自体を解除してくるケースなど、買主側に有利な契約不適合責任を最大限に生かしてきます。
査定員に対して自己申告したところで売買契約後に「聞いていない」と一蹴される可能性も十分考えられます。
何度も中古車売買の現場に立ち会った経験から改めて考えてみると、自己申告だけで二重査定のトラブルなくスムーズにいったケースは以下の条件が当てはまっていました。
- 優良な買取業者だった
- 査定員との信頼関係
買主が優良買取業者で、売主であるあなたと信頼関係が構築されていた、要するに買主の善意で取引が成り立っています。
加えて、大手買取業者になると売買契約の際に二重査定や再査定を行わない旨を説明したり、誓約書を渡してくるケースもあります。
このようなトラブルを防ぎ、業界健全化を目指すJPUC(一般社団法人日本自動車購入協会)に加盟している買取業者もあります。
では次に、二重査定の減額トラブルに遭っている方がすぐに対策すべきことを解説します。
二重査定による減額トラブルへの4つの対策
二重査定や再査定で減額を求められたら、以下の4つの方法で対策してください。
再査定による減額トラブルへの4つの対策
1. 売買契約後に二重査定で減額となった理由をはっきり聞く
二重査定で減額を伝えられたら、そのまま泣き寝入りをするのではなく、まずが減額となった理由をはっきりと確認してください。
ほとんどの場合は修復歴や大きな傷が見つかったというケースですので、どの部分に修復歴や傷があったのかを聞いてください。
買取業者の中にはいい加減な理由で契約不適合責任を主張してくるケースもあります。
すぐに理由を説明できないような買取業者は悪徳業者の可能性があります。後に紹介する行政や専門機関の相談先に連絡してください。
2. 契約不適合責任が法的に有効か確認
法律のプロでない限り、法的に有効かどうかを判断するのは難しいです。どのようなケースで二重査定の減額トラブルが発生しているのか、対処方法も含めてまずは行政や専門機関の相談先に連絡してください。
二重査定の減額トラブルは、買取業者側があなたに契約不適合責任を理由にしてくるケースが多いです。
まずは契約不適合責任が法的に有効であるのか確認する必要があります。
法的に有効なのは主に以下のようなケースです。
- 売主側が事故歴や欠点について説明責任を果たしていない
- 査定ではわからないような部分の欠陥がわかった
もし故意に事故歴や欠点を隠していた場合は、買取業者の請求に応じなければいけません。これは買主を守るために当たり前のことです。
ただ、売主も把握していない、さらに買主も査定時ではわからなかった欠点や欠陥に関しては、どちらも故意はなく落ち度もありません。
この場合は契約不適合責任によって買主が守られ、原則として売主のあなたが責任を負うことになります。
契約不適合責任が有効なのかをケース別に表にまとめました。
ケース | 契約不適合責任が有効な場合 |
---|---|
売主が知らない欠点や欠陥 | 契約解除や減額に応じる必要あり |
売主が査定員に伝えた欠点や欠陥 | 契約解除や減額に応じる必要なし |
売主が故意で隠した欠点や欠陥 | 契約解除や減額 損害賠償請求に応じる必要あり |
「二重査定の実例」で説明しますが、売主が正直に修復歴や事故歴を申告しているにも関わらず、それを理由に契約後に減額や解除を求められた場合は応じる必要がありません。
買取業者は査定のプロです。注意を払って査定額を算出しているため、一度結んだ契約内容を一方的に変更はできません。例えば以下のようなケースです。
- 売主が査定員に欠点や欠陥を伝える
- 買主もその欠点や欠陥を把握
- 契約後にその欠点や欠陥を理由に買主が減額や解除を要求
- 双方が納得して合意しているため買主の請求は無効
では、売主が知らない欠点や欠陥については、買主からの減額や解除に対して諦めるしかないのでしょうか。
基本的には売主が知らない欠点や欠陥については、契約不適合責任に問われる可能性はあります。
しかし、査定員とのやり取りや売買契約書の内容によって問われない可能性もあります。納得できない場合は、行政や専門機関の相談先に連絡してください。
売買契約前の方で、二重査定のトラブルを事前に回避する場合は、必ずチェックすべき項目があります。後に解説する「二重査定の減額トラブルにならない売却方法」を確認してください。
3. 減額交渉を拒否、売買契約をキャンセル
売主の自分に全く非がない、減額はとても納得できるものではないという場合は、減額交渉を拒否することもできます。
減額に応じませんと買取店に伝えてください。ただ、相手もすぐに納得することはないでしょう。
その場合には売買契約そのもののキャンセルを申し出てみるのも一つの方法です。
損害賠償やキャンセル料を求めてくることも考えられます。しかし、消費者契約法によると、解約に伴う平均的損害を超える部分については無効となります。(参照:政府広報オンライン「消費者契約法」)
売主が故意に隠そうとしていない場合、そもそも査定時に欠点や欠陥を見抜けなかった責任もありますから、強気に交渉すれば買取業者も諦めてくれるかもしれません。
特に大手買取業者だと悪いイメージがついてしまう恐れもあるため、応じてくれる場合もあります。
4. 行政や専門機関、もしくは弁護士に相談する
話し合いをしても買取店側が応じず減額もしくは解約を請求してくるようなら、行政や専門機関、もしくは弁護士に相談してください。
主に3つの相談先があり、優先順位は以下のとおりです。
「相談をする」と買取業者に伝えることも有効で、売主側の姿勢を見て買取業者側が請求を諦めてくれる場合もあります。
1. JPUC(一般社団法人日本自動車購入協会)の車売却消費者相談室
JPUC(一般社団法人日本自動車購入協会)の車売却消費者相談室はまさに車を売買する際の買取業者とのトラブルの相談に乗ってくれるところです。
二重査定による減額トラブルに巻き込まれた場合も気兼ねなく相談できます。
JPUCに連絡する場合には、対応時間が平日の午前9時から午後5時までとなっているので注意してください。
車売却消費者相談室の電話番号はフリーダイヤルです。
買取トラブルでお悩みの方は気兼ねなく相談してください。
2. 消費者生活センター(国民生活センター)
消費者生活センターは全国各地にあり、それを統括しているのが国民生活センターです。
これらの機関は消費者のさまざまなトラブルや相談に乗ってくれる機関で、車の二重査定や再査定による減額トラブルも相談できます。
別件で実際に相談した経験ががありますが、企業側にも連絡してもらい、諦めずに交渉してくれました。
消費者生活センターや国民生活センターがどこにあるのかわからないという方は「消費者ホットライン188」に電話をしてみましょう。
この番号は消費者生活センターが開所していない時でも国民生活センターに繋がるので安心です。
3. 弁護士
なかなかトラブルが解決しないという時には弁護士に相談する方法もあります。弁護士なら法律に詳しいですし、買取業者との交渉にとても頼りになります。
特に高額なキャンセル料や損害賠償請求をされた時や、契約して車も持っていったのにお金が振り込まれないなどのトラブルの際は依頼を検討してください。
ただし、弁護士費用がかかってしまいますので、状況によっては弁護士費用の方が高くなってしまう場合もあります。
大手買取店10社の減額の噂を徹底比較
下記の表はネットやSNSの情報、実際に買取業者に聞いた内容(調査当時)です。噂ベースも含まれているため、現在の内容と異なる可能性があります。
買取店名 | 再査定 | 保証内容 |
---|---|---|
ガリバー | 再査定の可能性あり (※店舗による) | クレームガード保証に入れば再査定を防げる |
WECARS (旧:ビッグモーター) | 再査定の可能性あり (※店舗による) | 特になし |
ラビット | 再査定の可能性あり (※店舗による) | 特になし |
アップル | 再査定の可能性なし (※査定員に確認) | 特になし |
ユーポス | 未確認 | 特になし |
ネクステージ | 再査定の可能性なし (※査定員に確認) | 特になし |
カーチス | 再査定の可能性なし | 特になし |
カーセブン | 再査定の可能性なし (※自社HPで宣言) | 特になし |
オートバックス | 再査定の可能性なし (※自社HPで宣言) | 特になし |
【トラブル実例】車売却後に起きた二重査定
車売却後に二重査定されたとして、さまざまなトラブル事例が消費者生活センターに寄せられています。
ここでは実際に起こった3つの事例を紹介しています。
【トラブル実例】車売却後に起きた二重査定
これらの事例は、誰でも起こりうる内容です。また、二重査定の対策としてどのような方法が有効なのか、それぞれの事例ごとにまとめています。
これから車を売る予定の方はトラブルに巻き込まれないよう参考にしてください。
1. 入金未払い・車引き渡し後に「事故車だった」と減額
新車を買うために今の車の査定を申し込んだ。3日前、自宅に来てもらい査定してもらったら22万円で買い取ると言われ、その場で契約し車を引き渡したが、2 日後業者から「隣の県のオークション会場に運び点検したら、事故車と判明したので半額での買い取りになる」と言われた。3年前に6年落ちで購入したが、そのときには事故車だとの話はなく自分も事故を起こしたことはないと伝えたが、業者は、「納得がいかなければキャンセルするが、運送費 3 万円を解約料として払え、払わないと車は返さない」と言う。
引用元:国民生活センター「増加する自動車の売却トラブル」
内容を簡単にまとめると以下になります。
- 新車を買うために査定して22万で買取
- 事故車だと判明し半額の11万になる
- 6年落ちで購入したが事故車の説明はなく自分も事故なし
- 半額に納得いかない場合は運送費3万で解約料を支払え
事故歴を売主が故意に隠したわけではなく、事故車だと知らなかった今回のケース。
これだと査定時に買取業者が二重査定を行わない説明や、契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」と記載されているかどうかが問題になります。
上記が確認できない場合、買取業者から減額(代金減額請求)を請求される可能性が考えられます。
納得できないかもしれませんが、売主と買主どちらにも落ち度がない場合、買主が守られる制度が契約不適合責任だからです。
ただ、「運送費3万円を払わなければ返さない」といった内容含め、納得できない場合は「行政や専門機関、もしくは弁護士に相談する」で紹介した連絡先に相談してください。
今回のケースでは運送費3万円ですが、法外なキャンセル料を請求されることもあります。その場合は、支払わないという強い態度で臨むべきです。
契約書に記載されているキャンセル料であっても、契約からキャンセルまでの時間が短い場合や著しく高く設定されている場合など、事業者に生ずべき平均的な損害額を超える部分については、消費者契約法第9条第1号によって無効となる可能性があります。
引用元:独立行政法人国民生活センター「増加する自動車の売却トラブル」
また、自らが申告した事故歴や傷に関して、それを理由に減額請求をされた場合は原則認める必要はありません。
修復歴や事故歴を告げたにもかかわらず、これらを理由として事業者から契約後に減額や解約を求められた場合は応じる必要はありません。事業者は査定のプロとしての注意を払って査定額を算出しており、一度合意した契約内容について一方的に変更することはできません。
引用元:独立行政法人国民生活センター「増加する自動車の売却トラブル」
では、自分に落ち度がない場合、査定時にどのように対応すればよかったのか。
後に解説する「買取業者に売主として説明責任は果たす」「売買契約書の内容を確認」で対策していればトラブルが回避できるはずです。
2. 引き渡した 10 日後に、事業者から一方的に契約を解除すると言われた
事業者を呼んで車を査定してもらい契約した。10 日後に入金される予定だったが、突然、事業者から「この契約はなかったことにしてほしい」と連絡があった。理由を聞くと「担当者が現地で車を確認したうえで金額を決めたが、車の引き取り後、もう一度技術者が細かく点検したところ、事故車扱いになるようなゆがみが見つかったため」と説明された。この車は新車で購入したが、事故を起こしたことがあり、査定時に「板金塗装もしている」と修復箇所を示したうえで査定額が決まった。一方的に解約すると事業者に言われても納得できない。
引用元:独立行政法人国民生活センター「増加する自動車の売却トラブル」
こちらは修復歴があるとして再査定をして解除(契約解除権)を請求されたケースです。
まずは売買契約書を確認する必要がありますが、このケースだと契約解除に応じる必要はありません。
なぜなら、査定時に売主が買主に修復歴や傷を申告し、合意した上で査定額が決まっているからです。一度、合意した契約内容を一方的に変更することはできません。
これで変更できるなら、契約書の意味がありません。
繰り返しになりますが、契約後に車両の瑕疵(修復歴や傷)による解除や減額を認める必要はありません。
もし、減額請求や解除請求された場合は先ほどご紹介した相談先に連絡し、「こちらに責任はないので認めたくない」と相談してください。
- 買取業者が交渉に応じない場合はJPUC相談窓口か国民生活センターに相談してください。
- 消費者ホットライン(平日&休日相談窓口):188
- 国民生活センター(各都道府県窓口):https://www.kokusen.go.jp/map/
- 国民生活センター(平日バックアップ窓口):03-3446-1623
- JPUC(平日9時~17時):0120-93-4595
3. 中古車買取店が数か月経ってから契約解除を申し入れ
2年前から所有する30年近く前に製造された国産スポーツカーを買取店に見せたところ、「ぜひ欲しいというお客がいる。買い取らせてほしい」と頼まれた。この車はエンジンを載せ替えていると査定士に伝えた。査定の結果、約75万円で買い取るとのことだったので、この車の価値が分かり、大切にしてくれる人の手に渡るのならと思い、売却を決めた。
その後3カ月近くたって、買取店本部の債権回収部門の担当者(以下、担当者)から、「オークションにかけたところ、走行距離数に問題があった。契約を解除したい」と電話が入った。走行メーターを自分で改ざんした覚えなどはない。プロの査定士が厳正に査定したうえで提示した買取金額ではなかったのか。売却代金は新しい車を購入した際使ってしまい、今さら契約解除と言われても困るし、納得できない。
引用元:国民生活センター「中古自動車」
売買契約を交わし、買取金額も受け取ってしばらく経てばもう何の心配ないと思うかもしれませんが、実際に数ヶ月経ってから契約解除を申し入れてくる事例もあります。
この場合は主に以下の3つがクリアしている場合、買取業者の契約解除を受け入れる必要はありません。
- 二重査定を行わない旨を査定時に説明
- 契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」と記載
- 売主に欠陥や欠点を隠すなどの落ち度がない
契約不適合責任の解除請求(契約解除権)は、契約書にはない不適合を知ってから1年以内に通知すれば有効です。つまり、買主の権利として請求することは可能です。
もちろん、売主からすると納得できない内容です。
まずは再査定になった事情を買取業者に詳しく説明してもらい、納得できない場合は行政や専門機関、もしくは弁護士に相談してください。
- 買取業者が交渉に応じない場合はJPUC相談窓口か国民生活センターに相談してください。
- 消費者ホットライン(平日&休日相談窓口):188
- 国民生活センター(各都道府県窓口):https://www.kokusen.go.jp/map/
- 国民生活センター(平日バックアップ窓口):03-3446-1623
- JPUC(平日9時~17時):0120-93-4595
二重査定の減額トラブルにならない売却方法
車売却後に二重査定の減額トラブルに巻き込まれないためには、買取業者選びから慎重に行い、査定時に必ず確認すべき内容があります。
再査定のトラブルに巻き込まれない方法は以下のとおりです。
車買取後にトラブルにならない売却方法
1. 買取業者に売主として説明責任は果たす
査定時には修復歴や傷、凹みなど査定に影響することを隠さず、正直に査定士に伝えてください。誠実に対応することが重要です。
また、新車で購入したが家族も乗っていて傷や凹みを把握していない場合、中古車を購入したため前のオーナーの修復歴や傷がわからない場合もあります。
上記はあくまで一例ですが、もし少しでも不安に感じたなら以下の内容を伝えてください。
自分で把握できる修復歴や傷凹みは伝えましたが、それ以外にもあるかもしれません。修復歴や傷、凹みなどすべて確認した上で査定額を出してください。
要するに「査定のことはよくわからないから、トラブルを防ぐためにも入念に欠陥や欠点をチェックしてください。プロに任せます。」と伝えるのです。
買取業者は査定のプロであり、本来は査定時間内に欠陥や欠点を見つけなくてはいけません。
設備が整った店舗での査定はもちろん、自宅で行う出張買取に関しても後に欠陥や欠点が見つかるリスクがあります。
消費者の自宅で査定を行う訪問買取は、事業者の店舗で行う査定と比べて設備面が充実していないことから、正確な査定ができないリスクがあります。しかし、事業者はこのリスクを承知のうえでプロとして車の査定額を出しています。消費者から修復歴や事故歴を聞いたうえで査定額を決定したにもかかわらず、車の引渡後になって、その修復歴や事故歴を理由に減額することは問題があります。
引用元:国民生活センター「増加する自動車の売却トラブル」
国民生活センターは、各買取業者が行っている自宅での出張買取の場合、店舗で行う査定と比べて設備が充実していないことから、正確な査定ができないことによるリスクがあると指摘しています。
このリスクを承知の上で、プロとして査定額を算出しているわけで、二重査定による減額はそもそも問題があるとしています。
逆も然りで、充実した設備があり、売主が隅々まで調べてほしいと言ったにもかかわらず、後から修復歴や傷などを理由に減額するのも問題があります。
必ず正直に修復歴や傷を申告し、まずは売主として説明責任を果たしてください。そうすれば、見逃した欠陥や欠点は買取業者側にあると主張できます。
2. 売買契約書の内容を確認
査定額に納得し、売買契約を結ぶ際は必ず契約書の内容を確認してください。
各買取業者によって契約書の内容が異なるため、実際に今まで売買した契約書の内容を記載します。
- 売主は契約不適合責任を負わない
- 買主は、前項を除き、契約車両に修復歴があることを原因として、本契約を解除することはできない。
- 売主は本契約締結し車両引き渡し以降に発生する一切の責任は負わない
上記はあくまで記載例です。
売買契約書にこのような記載があれば、売買契約後に売主が故意に隠した欠陥や欠点を除き、請求されることはありません。
わからない場合は査定員の方に、二重査定や再査定がないかどうか、契約不適合責任について説明を求めてください。一般的な買取業者であれば契約書に記載があり必ず説明してくれます。
これを契約前に行えば、二重査定による減額トラブルを防ぐことが可能です。
契約を交わす時に再査定があるのかなども隅々までチェックしてください。大手の買取業者は契約の際に「契約後は減額されることはありません。」と自ら説明してくれることもあります。説明がない場合でも必ず買取業者に確認しましょう。
3. JADRIもしくはJPUC加盟店で買取依頼
二重査定や再査定を避けるための方法としてはJADRIやJPUC加盟店に依頼するのも効果的です。
JADRI(一般社団法人日本自動車流通研究所)は、中古車流通業界全体の質の向上を図る活動をおこなっています。
一方、先ほど紹介したJPUC(一般社団法人日本自動車購入協会)は自動車業界の健全な発展を目指し、消費者に信頼できるサービスを提供するために活動している団体です。
JADRIのHPを確認すると、買取のトラブルに巻き込まれた場合の相談窓口がJPUCになっています。JADRI、JPUC共に二重査定や再査定を問題視、業界健全化を目指しています。
ちなみに、JADRI加盟店では主に以下のことを原則禁止しています。
- 再査定・二重査定による減額
- 高いキャンセル料の請求
実際はJADRIに加盟している店舗でも再査定があったというケースもあるため、100%安心とは言い切れない部分もあります。
しかし、相談窓口を設置しているため、加盟店と何かトラブルがあればすぐに相談できます。
以下の表に大手買取業者でJADRIやJPUC加盟店をまとめました。
JADRI・JPUC加盟店 (※大手買取業者の一部を紹介) | ||
---|---|---|
店舗名 | JADRI加盟 | JPUC加盟 |
ガリバー | ||
アップル | ||
カーセブン | ||
カーチス | ||
ネクステージ | ||
WECARS (旧:ビッグモーター) |
もちろん、1と2で説明した売主として説明責任、契約書の内容確認は必須です。
4. JADRI・JPUC登録業者が多いカーセンサーを利用する
二重査定による減額リスクを極力減らすために、JADRIやJPUCに登録している買取業者を選ぶ方法を3で紹介しました。
しかし、各買取業者に電話して各店舗をまわるのは手間と時間がかかり過ぎます。
そこで、JADRIやJPUCに登録している買取業者に一度に査定依頼をかけることができるのが車一括査定サービスの登場です。
車一括査定サービスとは、複数の業者に一度に査定を依頼し、最も高い査定額を提示した業者に売却できるサービスです。
- 複数の買取業者に依頼で手間を省く
- 業者間で競合状態になるため自然と査定額UPの可能性
- なるべく多くの買取業者に依頼する
- JADRIやJPUCの買取業者を選ぶ
このような条件をクリアしているのが「カーセンサー」です。
カーセンサーは最大30社に一括が同時査定依頼が可能で、車一括査定後に買取業者を選ぶことが可能です。
先ほどご紹介したJADRIやJPUC加盟している大手買取業者はすべて提携しています。
依頼できる買取業者の数が多いため、業者間での競争が激しくなることで、査定額も吊り上がっていく可能性が高まります。
JADRIやJPUC加盟店を選び、そのうえで高価買取を目指すならカーセンサーは必ず利用してください。
何度もカーセンサーを利用して売却していますが、二重査定の問題が起ったことはなく、高価売却を成功させたこともあります。売却の際には必ずといっていいほど利用する車一括査定です。
\ 愛車の最高額が下がる前にチェック /
まとめ | 二重査定や再査定による減額トラブル
このように中古車買取では二重査定や再査定による減額トラブルのリスクがあります。
知名度がなく怪しい買取店はもちろんですが、二重査定や再査定は大手買取業者でもかつて問題視されていました。
現在は、大手買取業者やその他の業者も二重査定の説明を行い、なるべくトラブルがないように努めている傾向があります。
しかし、二重査定の減額トラブルにならない売却方法でお伝えしたとおり、売主側もトラブルにならないように対策しているのが安心です。
まずは、買取査定の際に修復歴はもちろんちょっとした事故でも隠さずに話すことが重要です。
不具合を感じている部分があればキチンと伝え、売主として説明責任は果たしましょう。その上で、契約の際には契約書をしっかりと確認し、二重査定の可能性について確認してください。
現在進行形で二重査定のトラブルに巻き込まれている方は、行政や専門機関に相談してください。以下に改めて相談先を置いておきます。
- 買取業者が交渉に応じない場合はJPUC相談窓口か国民生活センターに相談してください。
- 消費者ホットライン(平日&休日相談窓口):188
- 国民生活センター(各都道府県窓口):https://www.kokusen.go.jp/map/
- 国民生活センター(平日バックアップ窓口):03-3446-1623
- JPUC(平日9時~17時):0120-93-4595
買取業者選びは慎重に行い、まずは信頼できる業者を選ぶことが重要になることを忘れずに、査定に出しましょう。